2014-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ニシンのいない港

春のニシンは北海道の沿岸に季節感を運んでくる。獲れないと大変寂しい。網外しや荷下ろしをする人のいない港はすこし空虚だ。ニシンが来なかった間の長い年月を思うと、ただならぬものを感じるが、翌日には姿を現すのもニシンのいつものパターンに違いない…

カニづくし

毛ガニを買って食べる。その行為はなかなか厳粛で、おごそかなものだ。第一に手間がかかる。りっぱな毛ガニを食べやすいようにバラす必要がある。その前に、毛ガニの顔や甲羅をしっかり見て、中身の旨さを創造する時間もうれしい。物言わぬ毛ガニは、黙って…

ある会議の風景と誕生日の花束

ある会議に出ていろいろな道具を使って記録しようとしていた、まさにその時、自宅には誕生日を祝う花束が届いており、両者にはどんな関係もなかったが、共時性の中で二つの事が起きた。 会議場の机の上にある物はすべて私の物に他ならなかったが、自宅の花束…

大江健三郎「晩年様式集 イン・レイト・スタイル」

昨年の秋に出され、書店で割合早く買ったのだが、全然読むヒマがなく、遅ればせながらようやく年を明けた2月中旬になって読み終えた。ノーベル賞を受けた大江さんは、人生の着地点としての晩年の生き方を探求しており、「最後の小説」あるいは「後期の仕事(…

哀愁のサッポロファクトリー

札幌市がバブル経済の中で再開発がどんどん進んでいた1980年代から1990年代にかけて、その象徴だったのが、豊平側左岸と創成川東側の旧永山邸周辺の開発。ホテルとマンションが建ち、それぞれ成功した。都心部から近距離にあるにもかかわらず、創成川東側の…

札幌の雪道

今年、札幌の北部は異常な寒さに見舞われ、年末から年明けにかけて毎日雪が降り、2月の一番厳しい時期を前にすでに根雪がしっかりと固まってしまいました。 この1月4日に亡くなった、いなむら一志がやっていたコンサートやアルバムのヒート・アイランド、熱…