新しいSAPPOROの風景

 札幌冬季オリンピックの再来の夢は断たれたが、再開発の波はSAPPOROを大きく変えつつあり、新しい風景がそこここに見られる。

 まず面白いと思ったのは、昔ながらのアーケードのある商店街「狸小路」に現れた「空き地」という場所だ。再開発を途中で投げ出し、塩漬けの土地をただ囲い込んであるとも言えるが、入り口の看板に驚く。ユーモアを感じると同時に中に入るのをちょっとはばかられる。そんな場所で暇をつぶしていると、なんとなくヘンな目で見られるのでは…。しかしそれは杞憂で、誰も気になんかしていない。中に入ると、そこはゆったりとした空間で、お休みどころ、飲み物なども提供される。昼間から夜間までいくらでも居られるのだろう。

 再開発ビルの建設もどんどん進み、地下街、地下鉄と直結した場所も増えた。単なる通路ではない、たむろしたり、待ち合わせしたりする場所にもなっている。

 次は2023年にオープンしたスペースでは最も若者を集めている「KOKONO SUSUKINO」だ。ショッピング、ムービー、飲食、デートスポット、ホテルという複合的機能が集積され、これでもかこれでもかと若者の心をくすぐる。もはや東北以北最大の歓楽街「ススキノ」はおじさん(大人)の場所ではなく、若者(カップル)が幅をきかせる場所に生まれ変わりつつある。

 そしてあちこちに目に付くのは、自販機の数々だ。すでにすっかり札幌駅に定着したサンドイッチの自販機には、いつも腹を空かせた人々が群がっている。それは利便性を求める実需者か面白半分で買っていくツーリストか不明である。