2016-01-01から1年間の記事一覧

加藤典洋著『日の沈む国から 政治・社会論集』を読んで

震災後、著者は精力的かつ真摯に新しい社会状況に立ち向かい、常識を打ち破る論考を世に問うてきた。その関心は、広く世界へ、現代思想のニューウェーブまで捉えて、なおも増殖を続け、次のテーマに目を遠く投げかけているようだ。 正直言ってこの辺で、読む…

加藤典洋氏の『戦後入門』と『村上春樹は、むずかしい』

自らの永年のテーマに区切りをつけるため、批評家・加藤典洋氏は、2015年、問題意識のエッセンスを新書で広く読者にわかりやすく語った。一つは『敗戦後論』から続いた戦後を終わらせるための議論、その最終的な具体策として国連主義、反核平和を強化するた…

原発労働を描いた3冊を読む

原子力発電所内の労働、原発労働を描いた本を通じて考えさせられた。原発労働というと高線量に悩まされる、福島第一原発の廃炉に向けた作業に注目が集まるが、原発が動く限り日常的な定期点検(定検)は今後ずっと続く。その実態は電力会社の「隠蔽体質」も…