JR十人斬り

 混み合う改札口を抜けると、男は払い戻しの客を誘導していたJR駅員に「テンチュー!」と言いながら斬りかかった。二本線の入った帽子を被った駅員はその場に倒れた。助けようとして近寄ってきた年輩の偉そうな駅員には、ダンビラではなく、素早い挙手を二本指に込め、眼窩奥深く突き刺した。ひどい悲鳴が耳をつんざいた。あとは見境なしに、男は駅員に血生臭い暴行を加え、犠牲者は十人にのぼった。
 あとでわかったが、男は電子ブリベイドカードで改札を通り、本名で購入していた。また、繰り返し「これは私怨ではなく、業務に精励しない者への制裁だ」と叫んでいた。