もう一つの黙示録2

 その後、電力会社の仕事が広告代理店を通じて入ってきた。結局、なんだかんだ言っても、民生用の200ボルト需要が知りたいというのは、一つの大義名分であって本当は原子力発電に対する意見を知りたいのは、火を見るより明らかだった。すなわち、企業イメージを左右する最大の問題だったからだ。市民相手に、面接調査とグループインタビューをやり、結果を提出するのだが、やっているうちに原発との関係はのっぴきならないものになっていた。広告代理店がやる仕事である以上、広告の評価は不可欠だった。テレビコマーシャルの認知度を聞き、どんな風に感じるのか話してもらうのだが、極めて印象が悪くて困った。年間大金を注ぎ込み、キレイな質の高いCMを打っているのに、電力会社のイメージはひどいものだった。地域に一社しかないから独占企業で、視点が役所的であるとか、自分たちばかり苦労しているかのようなメッセージは押し付けがましいとか、こんなもの作るくらいなら料金を下げる企業努力をすべきとか、とにかくやりにくい話ばかりが出た。