もう一つの黙示録

 原子力について聞かれた私は、正直に答えた。あんな危険な技術はダメだと。会社の専務は驚き、では電気が供給できなくなってもいいのか、と正してくる。へえー、そうですか。そんなこと考えたこともないこちらは、すっかり恐れ入ったフリをして切り抜けようとした。
 ヘルメットのように堅く暑苦しい髪の毛が目立つ専務は、追い討ちをかけるように、うちのお客さんには電力関係もいるから滅多なこと言っちゃ困るよと念を押した。そうすか、いいクライアント掴んでるんすね、と持ち上げてその場を収めた。