黙示録2

 男は、さきほどの善良な妻の夫だった。何も言わずマキリで講師のノドをかき切った。動脈が切れて大量の血が噴き出した。それにしてもみごとな切味で、その両刃の小刀は、後々村の男たちの語り草となった。
 惨劇の現場に村びとが集まってきた。男たちが前に出て女たちを下がらせた。彼らは手に石を持っていた。一人がゆっくり石を振り上げると、天の陽と一直線に重なる頂点から勢いよく下ろした。 まだ息のある頭部に打撃が加わり、講師は声をあげた。次々に男たちが石を振り上げ無慈悲に打ちつけると、肉はちぎれ骨は砕けた。