鳴海突撃隊3

 ところが、官僚たちは、それを許さない。誰が俺たちの存在に余計な注目をむけたのか。不思議だった。党中央自体がスパイだらけで、まだかろうじて生き残った下部組織をあぶり出そうと罠をかけてくる可能性だって十分ある。
 誰なんだ、俺を呼び出したのは。相手しだいじゃ自己防衛のため、消してやるとさえ覚悟をきめていた。
 そいつは絶対にスパイだった。鳴海をおびき寄せ、できるだけ多くのメンバーとともに補足し、包囲殲滅するつもりなのだ。わざと町中の人通りの激しい往来から地下に入る喫茶店で会った人物は、ひと目で鳴海に確信させた。
 党中央は完全に敵の支配下にあり、もはや再建不可能だ。むしろ徹底的に破壊し、地上から消した方がいい。男もろとも車で党中央が入居しているボロビルに突っ込み、身体に巻いた爆弾を破裂させた。その時、世界中で雨が降っていることを感じた。夏の雨の日、出て行った女に未練はない。なぜなら俺は世界のてっぺんにいるから。そんなイメージが一瞬鳴海の頭をよぎって、六甲山中に埋められた前世の自分を静かに見送った。