幾度かの危機をかろうじて乗り切り、生き残った部隊の面々は少なくなっていた。この辺で止めないと全滅するだろう。ナルミは、相変わらずの指令を受け、その苛酷さを恨んでいた。
「これを最後に部隊を解散させてほしい」と連絡員に伝えた。
すぐに官僚が飛んで来て、真意を探ろうとする。
アポの場所や時間、符牒の設定など手順の煩雑さにうんざりした。家庭では妻とフツーの会話を続けた。
「どうしてそうなるのかな」
「さあ、どうしてだろう」
深まらないうちに同じ所にルーブして終わる。堂々めぐりのまま結論をもとめない。
組織はそうは行かない。常に判断が問われる。鳴海突撃隊は、精鋭だったが、疲れ果てていた。