サエはすっかり落ちぶれた。

 まだ19歳だというのに。
「サエどうしたって?」
「学校辞めたらしいよ」
「えっ、ホントに」
「彼氏とはまだ続いてるんだ」
「わかれた」
「いま違うのと付き合ってる」
「だれよ」
「定食屋の店長さ」
「バイト先のかい」
「そいつ33歳なんだよ」
「えっ、サエなに考えてんのよ」
「もしか、イケメン?」
「いいや、ガチャビンみたいだって」
「イヤだ、わたし今日ガチャビンの靴下はいてんだ」
「サエすっかり落ちぶれたね」
「19歳で学校辞めて33歳のオヤジと付き合って」
「バカじゃねぇーか」
「すんごい年の差」
「私にはとってもできない」
「尊敬するね」
「むしろソンケーするわ」
 サエは、19歳ですっかり落ちぶれたあと、尊敬される存在になった。