しゃれ娘

 彼女のことを言う前に母のことに触れたい。母はしゃれ娘の母のことで、地味で几帳面な30代の主婦である。化粧気がまったくなく、お世辞にもおしゃれとは言えない。美人ではないが、決してブスではない。
 それに比べると、娘はおしゃれで、小学生のくせに、花柄の化粧ボックスを持ち歩き、髪型も服も最新流行なのだ。しゃれ娘とはこちらが勝手に付けた名前に過ぎないが、母との対比で見る限り、ぴったりのネーミングと言える。
 ところで、しゃれ娘は行儀がよい。メガネっ子で、歯を矯正しているから、一見アグリー•ベティみたいに見える。とても良い子なのだ。しかし、おしゃれには敏感でスキがない。完璧なローティーン•ファッションリーダーと目指している。
 しゃれ娘の将来を思うと楽しみだ。日に日に大きくなるしゃれ娘は、見る見るどっかに居なくなって母とも別れ、ほんとのしゃれ娘になるのだろう。