ホスト経験あり2

 男は、車両の入り口付近で固まっている高校生に苛立ち始めた。女子高生の甲高い笑い声や奇声を発する様子が我慢ならないようだった。
「うるせーな、あいつら」
「高校生だよ」
「何がおかしいんだ」
「ちょっとアンタたち、うるさいよ」
「オレが高校の時なんか、あんなにうるさくなかったぞ」
「これくらいの声で十分でしょう。聞こえるよ」
 単に暗い高校生時代へのボヤキとして女子高生はカップルをまったく無視して一層はしゃぐのだった。
 それから横にいる私がガムを噛んでいるのを見て、決して視線をあわせなかったが。
「ガムとかアメとか口の中でクチャクチャさせてるオヤジ、なんかキモくない?」
「きも〜い」
 こういう時は、じっとしているしかない。